越廼

久しぶりにセンター北ぶらぶら。
昔はモザイクモールとか来てたなーとか。
土曜の駅前の喧騒外れて喫茶店でも…
と思ってたら意外な場所に「そば」の幟。

居酒屋?だったらランチはやってないよなぁ…
と思ってみたら暖簾は出てる…「越廼 」。
横の大看板には「鶏和酎」。
とりあえず営業中?だったらとりあえず入ってみるか。



中は照明落とした小上がりになってて、
所狭しと酒瓶が並ぶ。ますます居酒屋感。
どうやら他の客は無し…と、奥から髭の店主らしき人が。
「うちは¥1800のコースのみですが、宜しいですか?」
???一瞬虚を突かれたがこれもまた面白い。


お茶とともにコースの説明。
冷たいそば→温かいそば→おろしそば
の順に出てくるらしい。
一品料理無しの純粋な蕎麦コースってのは珍しい。


温かい蕎麦だけは「鴨蕎麦」と「鰊蕎麦」から選べる。
ふと、ここは居酒屋だっけ?と思いだし、
肉メインか魚メインか聞いてみたら夜は焼鳥屋
ならば鶏の流通経路は信頼できる、と鴨を選択。


店主は1人で切り盛り。
聞けば、夜と昼ではそもそも店主が違うらしい。
昼は光熱費タダで店を好き勝手に使う代わりに
夜の居酒屋の"〆の蕎麦"をうつとか。
完全に場所をシェアして給料分は自分で稼ぐ、と。
だからメニューを極限まで絞ってるのか。



一品目は「柚子切り蕎麦」
ざるではなく変わり蕎麦でくるか。
供された蕎麦は更科粉の細切り。
そして特徴的な少なめの辛汁。そして香り。
これは…一茶庵系の仕事か?と思いながら一啜り。
照明が暗めで柚子の星が確認できない。
柚子皮をペーストにして練り込んでいるのか尋ねたら
普通に細かめに摩り下ろしているとか。
柚子切りは冬の3〜4か月ほど出すらしい。


話しているとご主人の修行先は確かに一茶庵であった。
というか、「九段下一茶庵」が去年末に閉店!?
鴨の陶板焼きと五色蕎麦美味かったのになぁ…
一茶庵一門の裏の話を聞けて色々考えさせられ。



二品目は「鴨南蛮蕎麦」
小さ目の器に胸肉が一枚とつみれが二個。
七味を勧められたがあえてそのままで。
むね肉は野趣感じる歯ごたえと後味。
"九段下"で感じたレバーのような後味とは違う。
蕎麦は先程とは変えて太めによく練り込まれた弾力。
ただ、つなぎの問題か短く切れている。
外一で打っているのか尋ねたら、7.5:2.5くらい。
色々試しているのかな。
甘汁は鴨のエキスが入って独特のコクが出て美味い。


「フランスのシャロン鴨」試したがダメだったとか
「鰊は一から自分で作るから半身ではなく四つ切」とか
手間を惜しまず試行錯誤している話が面白かった。



最後は「おろしそば」
この店は不定期に閉めて御主人は実家に帰省する。
実家はどこか尋ねたら福井!それは大変だ…
この店の名も地元の(今はもう無くなった)地名。
なるほどそれで最後は"越前おろし蕎麦"か。


ただ、私の知っている越前そばはもう少しおおらかな
いい意味で"田舎の蕎麦"だけど、この蕎麦はもう少し
整理してクリアな印象。冷やがけ汁が違うのかな?


上にかかっているのは大根おろしと直前に削っていた
鰹節の細削り。それは香りが違うはず。
目の前に削り鉋と削り箱(鉋に合わせて作った)。
鉋も今の歯角度にたどり着くまでに3年かかったとか。
(マッチ棒の太さまで鰹節を削ってた!記念に貰った!)


蕎麦自体もどうやら三種とも打ち方を変えている。
まだまだ進化の途中、というところか。


気づけば1時間半も話し込んでしまった。
今度は是非、自慢の鰊蕎麦、あと難しいと言ってた
桜海老切り蕎麦」をGW過ぎにいただきたい。


横浜市都筑区中川中央1-5-4 センター北ミレナリオビル
045-915-7627(焼き鳥「鶏和酎」と同じ)
11:30〜13:00